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column 2015.12.14
 
Rトピックス
金沢の町家改修で使える補助金制度
北出健展(ジェル・アーキテクツ)、写真=金沢R不動産
 

大磯から金沢に拠点を移すべく、町家を改修している北出健展さん。一級建築士でもあり、県外から移住してくる北出さんには、金沢の町家補助金制度はどのように見えているのだろうか。
客観的に整理してもらえるのではないかと思い、厚かましくも紹介テキストをお願いしました。今回は補助金が最も手厚く設定されていて、町家も多く残る「重要伝統的建造物群保存地区」(以下、重伝建)の町家の補助金のお話。金澤町家を購入して改装したい人はぜひご参考ください。

金沢には4つの重伝建地区がある。 写真左上「東山ひがし」右上「卯辰山麓」左下「寺町台」右下「主計町」の代表的なエリア。

1.金沢市内にある4つの重伝建地区

金沢市内には「東山ひがし」「主計町(かずえまち)」「卯辰山麓」「寺町台」という、4つの重要伝統的建造物群保存地区(以下、重伝建地区)があり、全国で110あるそうした地区のうち、8カ所が石川県内に、そのうち4カ所が金沢市にある。範囲も広く、観光客が多く訪れる場所から、住民の生活が連綿と続いている静かな場所まで、地区の中でも街の様相は変化に富んでいる。

重伝建地区は地域に残る歴史的な集落・街並みを保存しようという意味合いから文化庁が指定。そして市町村が修理・修景を行ったり防災事業に力を入れたり、修理・復原や維持のための補助金を設けたりしている。また、所有者は固定資産税の減免など税制優遇が得られる。

金沢市内の重伝建地区のマップ。赤色の範囲が重伝建地区。黄色は金沢市が指定する「こまちなみ保存区域」

その中でも北陸新幹線開通により、知名度がグンッとあがったのがひがし茶屋街のある「東山ひがし」地区ではないだろうか。優美な茶屋建築が通りに立ち並ぶ景観に惹かれ、多くの観光客が訪れる人気観光スポットとなった。だが一方で、1、2本通りを離れると、昔ながらの街並みと暮らしがそのまま続いている。

金沢・ひがし茶屋街。江戸末期以降の茶屋建築が並び、多くの観光客が訪れる一方、現役の芸妓組合もあり、お稽古の三味線が奏でる調べが聞えたりと、朝晩は静かな時間が流れている。

ひがし茶屋街の周辺は「卯辰山麓」重伝建地区に指定されていて、町家や寺院が多く残る、静かで暮らしやすい住宅街となっている。

ひがし茶屋街のある「東山ひがし」地区を取り囲む「卯辰山麓」地区へ。静かな路地が続き、住人のコミュニティーも昔ながらの温かさが残っている。

3.補助金について

金沢の重伝建地区では、町家と道路の景観を維持することを優先し、前面道路のセットバック(道幅を4mにする)が不要であったり、建ぺい率も通常より優遇されていたりする。

そして重伝建の補助金は町家の場合、主に外観・構造の修復復原に最大で8割の補助金がつく。それにより、外の格子を新しくしたり、瓦屋根を葺き替えたりしやすくなる。申請する際、住所が金沢市であることは必須ではない。県内外の方でも補助金を活用して町家改修を行うことが可能だ。

(上)卯辰山麓地区で金沢R不動産でも募集している町家。(下)補助金を活用することで、この写真のような格子のある町家らしい外観にすることができる。

一方で、インテリアはどんなデザイン・スタイルにでも改修できる。町家暮らしの不便さでよく挙げられる暑さ寒さへの対策は、床暖房やエアコンなどを設置し、しっかりした断熱を行うことで、風通しの良い自然の心地よさを楽しみつつ、最新のスペックに近づけることも可能だ。

補助金を使用するデメリットもある。例えば、外観や、柱や梁など構造は復原補強が原則のため、金沢市役所との十分な調整が必要である。また、計画・見積・補助金申請に1年、それから工事に1年、合計2年ほどの時間がかかったり、各種法令への適合が求められたりする。そこは発想を変えて、時間がかかることは他の事例を見て廻ったり、じっくりとプランを練ることができる余裕と考え、また法令適合もそれによって建物の安全性・耐久性が向上するとポジティブに捉えることをおすすめしたい。

補助金を活用した金澤町家の改修は、じっくりと取り組むことができる現代の「建物道楽」とも言えるのではないだろうか。

建物の奥にある中庭や大きな吹き抜けも金澤町家の魅力の一つ。

4.金澤町家を探す/改修の相談をする

重伝建の建物でも町家と新しい建物が混在していて、外観からは町家かどうか判断しかねる場合があるが、町家とそうでない建物の区別は建てられたのが昭和25年以前かどうかであり、判断は登記簿や課税台帳、金沢市役所の担当課への問い合わせにて確認ができる。

町家物件を探す際には、金沢R不動産のサイトに「金澤町家」というジャンルがあり、ほぼ常時金澤町家の物件が紹介されている。町家の購入や賃貸、リノベーションなどの相談も随時可能だ。

また、改修に際しては金沢市役所やNPO法人金澤町家研究会、町家改修に慣れた建築士、工務店などへの相談も大切になる。

かく言う私も来春完成にむけて「卯辰山」地区の町家を改修中であり、改修の様子を日々ブログ「金澤町家改修ものがたり」にて公開している。重伝建地区は自身が暮らすことになる地区でもあり、相談も随時受け付けている。

補助金を活用して改修した町家で暮らすということは、クルマが不要な都心居住ということでもあり、昔ながらの手間をかけた良質な住まいを生かして、快適に暮らす楽しみが実現出来るのがオススメのポイントだ。

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