2020.5.25 |
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クラウドファンディング 「勝手に、かなざわ商興会」で考えたこと。
金沢R不動産の兄弟メディアである地域メディア「real local金沢」では、いま「勝手に、かなざわ商興会」というクラウドファンディングを実施中。実施中。
※おかげさまで330万円を超えるご支援が集まり、クラウドファンディング は終了いたしました。応援いただきありがとうございました。
「勝手に、かなざわ商興会」イメージビジュアル
「勝手に、かなざわ商興会」とは、金沢の飲食店や小売店といった個人商店で使える未来の商品券の購入することで、お店を支援・応援する仕組みだ。
5/25日夜現在で、330名を超える方から270万円を超える支援が届いています。ありがとうございます!時間が限られているので冒頭でご案内するが「勝手に、かなざわ商興会」の支援締め切りは残り僅かで、5月29日(金)までとなっているので、いま困っている金沢の個人商店支援にご興味ある方は是非 こちら より、ご支援の手続をお願いしたい。
さて、その「勝手に、かなざわ商興会」についてご紹介したい。
暖冬でほとんど雪も降らなかった今年の金沢、例年よりも早く桜が咲き始めていた3月下旬、コロナ新型感染症が全国へと拡がる中、金沢も息を潜めるように静まりかえっていた。
そんな中、不動産や建築を通して金沢という都市・まちに関わりながら仕事をさせてもらっている自分たちにできることは何かを考え始めていた。ゆっくりと確実に締めつけられるような焦りが迫ってくる中、取り組めることはないだろうか?
静まり返る4月下旬の主計町茶屋街。
普段は夕景を撮影する観光客が散見される「ひがし茶屋街」も誰一人歩いていない。
4月7日に東京で発せられた緊急事態宣言は、翌週13日には金沢でも宣言された。
しかし、飲食店などにとっては、自粛を要請されるもパブリックな支援も決まらず、先の見えない状況下で不安な日々が始まり、いったい何をしたら良いか分からないという声も既に聞こえ始めていた。個人商店の経営者にとって、確かなことは、これから厳しくなるのは売り上げ消滅で途絶えた資金だ。
そこで、すでに僕たちが運営するreal localと連携しているクラウドファンディング・プラットフォーム「 MotionGallery 」を使うことにした。
今回「Motion Gallery」のコロナショックに関する支援プログラムを適用。
早速、顔なじみの店主達にアイデアを投げかけると、お金という支援があれば助かるし、お客さんに応援されることも嬉しいという反応。一方で、店を継続できるか分からないし、お客様を裏切ることだけは避けたいと、辞退するというなんともやるせない回答もあった。
僕たち自身も飲食店や物販店を運営しているので、その痛みや恐怖心は強く共感できる。けれども、主の顔が見える商店には、市内や県内の常連さんはもちろん、県外にもファンがいるはずだ。だからこそ、公助を待つよりも、商店主とお客様を繋ぐ共助のカタチをすぐに起動させることが必要だと思えた。そうすることで、消えてしまった売上と、少し先の未来を考えるモチベーションが生まれるかもしれない。
現場対応に追われる店主に代わってクラウドファンディングを実施。
つい名前から入ってしまうのだけど、僕たちにとって大切なのはプロジェクトの名前だ。real local金沢や金沢R不動産のスタッフと相談し、R不動産らしくまちや商店街をイメージできるようにと「勝手に、かなざわ商興会」と名付けた。自由にまちを楽しめるようになれば利用できる「未来券」という名の商品券3000円を、お店指名で購入していただく仕組みとした。その為の、ロゴやチケットは、いつも無理をお願いしている地元デザイナーに早速作っていただいた。
そうして、約1週間の参加店公募活動を経て、4月末に32軒の店が連なる「勝手に、かなざわ商興会」公開にこぎつけた。
5月22日現在で250万を超えるご支援が。
クラウドファンディング公開後も、随時参加店を募集し続けて、50軒を超える大所帯となったけど、そのバリエーションが面白い。
気軽に使える飲食店や居酒屋もあれば、レトロな喫茶店、本気で食を楽しむ専門料理店、夜を彩るラウンジやスナック、金沢ならではの茶屋街のお茶屋さんまで。食の金沢ならではのバリエーションが揃う。さらに、古本屋やギャラリー、工芸雑貨店、アウトドアショップといった物販店、美容系サロンや美容室や着付けといったサービスショップまで揃って、ちょっとした規模の商店街のラインナップだ。
ここで改めて思うことがある。金沢に限らず、まちとはそんな多様で雑多な店でできているのだ。
巨額の資本を投下して広域から集客する大規模ショッピングセンターとは違い、何でも揃っている訳ではないし、ちょっと不便な場所にあったり、駐車場がなかったり、ちょっとボロかったり、店主が個性的過ぎたりもするだろう。けれども、生活圏内に点在したり連なったりする個人商店こそが、その街固有の界隈をつくりだす。不動産や建築設計に関わっているからこそ確信をもって言えるのだけど、計画・デザインしようと思ってもなかなか作り出せないのが、そんな個性のあるまちなのだ。
一昨年の夏の木蔵町の様子。「仕事終わりの一杯」が日常だった頃。
バラック飲食街「金沢中央美食街」からの参加店舗も。
新幹線が開通してからの5年間、金沢に大きな賑わいをもたらせてくれた観光客が、期待していたことは、観光客に媚びたような「光景」を「観る」ことではなく、ここに人が楽しく、文化的に、美味しく、暮らす日々の営みの総体としての「都市・まち」なのだと改めて気づかされた。
そんなまちを失わない為にも「勝手に、かなざわ商興会」が、役に立ってくれることを願いたい。
残り一週間を切った。けれども、そんな思いを乗せたみなさんのご支援をお待ちしています!