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column 2020.6.12
 
シリーズ:わたしの家探し
第2回 かしこく住み替え、心踊る方へ
柳田和佳奈(有限会社E.N.N.)
 

みんなの“家探しストーリー”をオンラインでうかがうインタビュー連載(前回の記事はこちら)。第2回は、石川県七尾市の「能登島」にある平屋を購入し、2020年3月に東京から移住してきたデザイナー夫婦とお子さんのお話です。自由な生き方の下支えにもなってくれる、家選びのコツとは。

島から眺める春の海。能登島の人口は約3,100人。

能登島の江頭さん宅。理想的な庭付きの平屋(写真提供:江頭さん)

東京のマンションを売却し、能登島の平屋を購入

7年前、娘が小学校に入る前に東京江東区にある3LDKのマンションを購入しました。母と同居するために、部屋数が必要になったという理由もありました。

スーパーまでは徒歩3分で東京駅には電車で30分、渋谷や恵比寿へも1時間以内。都心で暮らすには抜群のロケーションでした。子供の頃から都会で暮らしてきた妻に言わせると「東京でこれ以上の住環境はない」とのこと(笑)。
僕も気に入っていましたし、長く住むつもりでマンションは購入しています。ただ、北九州の田舎町出身としては、東京でのマンション暮らしをどこか窮屈にも感じていました。

オンラインインタビューに応じて下さった、ご主人の江頭浩一郎さん。職業はウェブデザイナー。

都心で生活しているからこそ、娘にも自分が幼少期に体験してきたような自然との触れ合いを感じてもらいたい。そこで、娘が小さい頃から月1回ほど家族でキャンプに出かけるようになりました。
最初は乗り気じゃなかった妻も、次第にキャンプが楽しくなってきた様子。そんな3年前の夏、たまたまテレビで見た能登島にキャンプに行くことにしました。その時に、島の景色の美しさに感動して「いつかこんなところに住めるといいな」と漠然と思ってはいましたが、まさか数年後に実現できるとは。

「能登島家族村Weランド」にて、当時のキャンプの様子(写真提供:江頭さん)。

能登島の夕暮れ。(写真提供:江頭さん)

フリーランスへの転身を機に“住み替え” 検討

2019年9月、所属していた会社が倒産しました。ウェブの世界ではそんなに珍しいことではなく、僕はこれを機にフリーランスに転身。元の会社のメンバーでチームを作り、継続して既存のクライアントと取引していただけるようになりました。
収入は増えましたが、固定給ではないので安定はしていません。そこで家族とも相談して固定費などを見直すことにしたんです。

当時は駐車場代や管理費など、マンション購入分のローンとは別に、毎月約10万円を払っている状態でした。小さなマンションなら購入できる程の額なので、これってどうなんだろうと。また同居していた母が亡くなったので、部屋数が必要なくなったということもありました。

現在も能登島の自宅から、東京のチームとお仕事をされているそう。

もう東京にいる必要がなくなった

また、ウェブ制作という仕事柄、サラリーマン時代から在宅でも仕事ができていました。会社には週3日出勤するくらい。打ち合わせには出向く必要がありましたが、最近ではそれもオンラインで済むようになったので、もはや東京にいる必要はないのではないかと思うように。

「生活費が下がる」「家で仕事ができている」「東京で暮らす必要がない」「趣味のアウトドアを満喫できる」「娘に故郷ができる」。こういった理由からマンションを売却し、地方へ移住することにしました。
都会育ちの妻には反対されるであろうと覚悟していたのですが、なんと「能登島なら移住してもいいよ」と驚きの返答が(笑)。おそらく3年前、能登島大橋を渡ったときには、妻も心奪われていたんだと思います。それくらいの“異世界感”が能登島にはあったんです。

そのときに撮影された能登島大橋から眺める能登島。(写真提供:江頭さん)

2019年10月にはネットで能登島の物件を探し始め、東京のマンションも売りに出しました。
金沢R不動産に掲載されていたこの物件をつけた時は「これだ!」と思いましたね。庭のある築浅の平家、家族3人でちょうど良い広さ、徒歩3分で海、建物の裏には広大な敷地があり、個人的にキャンプ場経営にも興味があったので夢が一気に広がりました。

当時は「能登島のおおらかな平屋」として掲載していました。

掲載時の物件の写真。

掲載時のリビング。

10年後に売れる物件かどうか

結局内見したのはこの一軒だけ。もともと能登島では不動産情報として物件があまり出てこないんです。「空き家バンク」には数百万円で買える格安な戸建がいくつもありましたが、築60年の物件を改修するイメージが湧かなかったのと、昔の家なので15LDK(!)だとかサイズ感も合わない。

今の家は能登島の物件相場的には高い方でしたが、僕は購入費の額面自体より、資産価値がある家かどうかを重視していました。例えば娘が独り立ちした10年後に売れる家であるか、という観点です。
この物件は高齢の方向けに設計事務所がつくった注文住宅で、建物の基礎的なつくりがしっかりしていて、よく考えられていると内見時に感じました。内装や意匠的なことは後から自分好みにどうにでもできる。価値が目減りしにくい建物を選べば、ローンを返済していることも、ある意味では貯蓄をしているようなもの。今回の家も、東京のマンションが上手く売れた元手があるからこそ購入できているわけで。

リノベーション後の物件。床は無垢材で、ダメージ加工がされているフローリングに変更。(写真提供:江頭さん)

古いことが価値になるリノベーションを

リノベーションについても同様の考え方で、「経年美化」を重視しました。自分たちが心地良く住めることはもちろん、家を売る時に「古い」ことが価値になるような素材・テイストを選んでいます。

改修は東京に住みながら遠隔で進めるため、施工会社には指示書をつくり、建材の型番から寸法まで細かく指示を出しました。そのために都内の建材メーカーの展示場は片っ端から回りましたね。床、壁、天井、お風呂、トイレ、外壁、すべて含めて900万(内装:700万/外壁・外構200万)くらいでした。ここでケチらずにしっかり改修しておくことで、売却時に「売れ筋」になりうると考えました。

琉球畳に張り替えた和室。冬にはコタツを購入して、床の間もしっかり飾る予定だとか。

お風呂場の壁にはタイルを(左)、ワンちゃんもお気に入りの現在の住まい(右)。

家族が集うリビングを目指して、大きなソファやダイニングテーブルを配置。

東京から、島という密なコミュニティへ

改修が完了し、能登島には2020年の3月に引っ越してきました。ちょうど新型コロナの感染者が増えてきた頃だったので、しばらくは家にこもり、緊急事態宣言が解除されてから町内会長やご近所の皆さんに挨拶に行ってきました。翌日、町内会長さんから釣ったばかりの黒鯛までいただいて驚きましたね。

“島の集落”という密なコミュニティに、東京から地縁もなく越してきたわけですが、あまり不安は感じていません。単純に、貢献しないと“島の人間”として認めてもらえない、というだけの話だと思っています。草刈りやお祭りには、今後しっかり顔を出していくつもりです。
それに、妻は金沢R不動産が運営している「reallocal金沢」で、能登島のローカル情報を事前に収集していたようです。

平屋は田んぼに囲まれています。

徒歩3分で海というグッドなロケーション。

島での楽しいカルチャーショック

島に越してきて困ったことですか? 今のところ特にないですね。ネット回線が引かれていなかったことには少し驚きましたが、WiMAX(モバイルWiFi)の2台使いでなんとかなっています。あとは、雑草の伸びが想定外に早かったことでしょうか(笑)。でも元々庭仕事をするのが夢だったので、YouTubeで庭木剪定の勉強をしたりして、楽しくやっています。
妻も能登島に来てから人生初の運転免許を取って、軽トラも購入しました。雑草や枝木の運搬にも欠かせないですし、島では軽トラは生活必需品なんだと、ここに来て知りました。

デッキから見える庭。色んな種類の庭木が植わっていて、春には桜も咲いた(写真提供:江頭さん)。

自由な生き方を選び続けるために

東京からいきなり能登島の一軒家を購入して移住ということで、「賃貸から始めなくても大丈夫?」とご心配をいただいたりしました。けれど、自分の中では“大決断”とは感じていませんし、ここを“終の住処に”とも思っていません。またおもしろいところがあれば、そこに行けばいいと思ってます。
目下の目標は、引っ越してからまだ行けてないキャンプに行くこと。あとは夏に家の広縁でバーベキューしたり、冬は和室のコタツにこもってみたり。とりあえずは楽しそうなことを一つずつやってみようかと。そして、ゆくゆくは家の裏の敷地でキャンプ場もオープンしたい。夢がひとつ叶った今、次は何をしようかともうワクワクしています。

中学生になった娘さんとは、能登島で早速釣りを楽しんでいるそう。(写真提供:江頭さん)

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