Rトピックス
茨木町アパートリノベーション進行中 その1 出会い編
text=小津誠一(E.N.N./studio KOZ)

「その2 計画編」はこちら
「その3 工事編」はこちら


大きなボリュームは、まるで銭湯や校舎のよう。

金沢R不動産では、個性的な物件の賃貸・売買仲介や紹介をさせて頂いています。嬉しいことにお客様からリフォームやインテリアなどの相談を受けることもよくあり、特に多いのは店舗の内装や住宅のインテリアのお手伝い。最近では物件オーナーの方から、本格的リノベーションの依頼をいただくことも多くなってきました。時代の要請もあり、建物を改修しながら長く使っていくという新たな選択肢も浸透してきたようです。そんな中、静かに佇んできた名も無き建物の相談が増えつつあります。町家再生や伝統的建築の保存が盛んな折、金沢という街並みを圧倒的な数で支えるフツーの古い建物たち。そんな愛すべき建物にも光を当てていくことになればと思い、僕たちができることを持って、より積極的に関わっていきたいと考えています。

今回の連続コラムでは、それらの中から賃貸アパート物件の本格的リノベーションをご紹介します。来年1月の入居者募集に向けて、先月から本格工事が始まったばかりのこのプロジェクト。完成を追いかけるようにして、数回に分けて余すところ無く連載していきます。更に、工事現場の実況報告をブログでもお伝えしていくので、こちらも是非ご覧になってください。




懐かしい中廊下、共同水回り。

確かにあった昔の学校の木造架構。

蔦の侵食で、部屋がまるごと植物アート。

昭和40年代築の木造アパート

まずは、物語の舞台であるこの建物の現状を。
建物は、昭和40年代に建てられたテナント付きの木造アパート。竪町通り裏手の茨木町、新竪町通りにもほど近く、最近僕たちが裏タテマチと呼んでいるエリアに建っている。ミニ広見を思わせる歪(いびつ)な十字路、鞍月用水沿いというロケーション。角地に建つ大きなボリューム感は、銭湯や校舎を思わせるような佇まい。金澤町家やグッドデザインな建築じゃないけれど、僕たち金沢Rチームにも気になる建物だった。

一階には、料理屋、美容室などのテナントが入居していたようだ。二階は中廊下式のアパートで、共同シャワー、共同トイレという古い下宿の様なつくりになっている。しかし、このすっかり古くなってしまった建物には、住人も商店主もいなくなっていた。

中へ入ると、使われていない建物特有の古い空気が漂っていた。ある部屋は蔦に侵食されていたり、雨漏りで土壁が崩れかけていたり。
ところが、目を奪われたのは、屋根裏の倉庫へ入ったときだ。大きな屋根を支える骨組みが合掌造りの木造架構だった。このアパートからほど近くにある新竪町小学校。そのかつての木造校舎の廃材をリサイクルした建物だったのだ!

こんなにもフツーに建っている古い建物にも、物語があることを感じさせてくれるではないか。