金沢R事情vol6
金沢ライフ穴場探訪2「築100年ほど経つ古民家で工房を」
text=奥 隆生(E.N.N.)
手間をかけて作られたモノって古びれないというか、時間がたてば経つほど味わいが深くでてくるものですね。もちろんその間も手をかけられていないと朽ちていってしまうわけですが。
ROCKやJAZZなんかを聞いて育ち、パスタをおいしく食べていても、体に流れているのは日本人の血。牧歌的な日本の田舎らしい風景の中、今も手を加え続けられている古い民家には、なんともいえない、ゆるくて心地のよい空気が漂っていました。
写真1
並べられたうつわや鍋たちがこの部屋にはまってます。
前回から続く、金沢ライフ穴場探訪。
第2回目として紹介するのは、中川さんに案内していただいた工房仲間、「陶房 ななかまど」の小林さん。なんだか、リレー形式でお届けすることになってきましたが、どんな方が待っているのか分からないというのは楽しみを倍増させてくれるものです。
渡された地図を手にして車を走らせること10分ほど。中川さんの工房からもう少し湯湧温泉に向かって(つまり山側です)いくわけですが、視界のほとんどが水田と里山という風景になってきます。
あちらこちらでキラキラと水面を輝かせ、稲の青い匂いを含んだ風が心地よく、どこからか雲雀のさえずる声が聞こえ、遠くを白鷺のようなものが飛んで行く。田んぼの横に白い犬が寝ていたりして、自分で自分の顔は見れないですが、たぶんすごくリラックスした顔になっていたと思います。
それらしき集落が見え始め小林さんの工房を探せども、どれがどれだか見分けがつかないので、歩いてきた年季の入った麦藁帽をかぶったおじさんに聞いてみると、「あぁ、あそこを右に曲がると右に見えてくるよ。鍋買いにきたんけ?」と、とても分かりやすく教えてくださる。
聞けば昔からここで育った方ではないらしいのですが、すっかり近所と馴染んでらっしゃるようです。
言われたとおり右に曲がるとそれらしき古い民家が見えてきました。
特に看板は見当たりませんが、中を覗きこむかぎり、土の塊やろくろや作業机が見えるので間違いはなさそうです。
このまま眺め続けて不審者と思われても困るので、「こんにちは〜」と声をかけると出てきた方が、小林大さん、かのこさん夫婦。
今回の穴場探訪に登場していただくご夫婦にお会いすることができました。
Case02 気負いがないので自然体
金沢市下谷町 小林大さん/陶房ななかまど
写真2
奥座敷湯涌のさらに奥へ。視界に映るのは緑と青色ばかりです。
写真3
貫禄のある玄関。看板は見当たりませんが、中を覗きこむと、土の塊やろくろが見えます。
写真4
玄関を入ると工房スペース。
里山に残る古民家を工房に
おそらく農家の作業場として使われていた玄関まわりを工房に、大きすぎるくらいに大きく、天井の高いお茶の間には鍋やうつわが並べられ、裏庭(といってもまわりは全て庭のような状態ですが)に面したあたりがダイニングや、家族の和みの空間としてこの古い民家を活かしてらっしゃいます。
さすがにモノ作りをされているので、壁や建具などは手作り。
その道のプロでないので、慎重かつ適当に手を加えられているあたりが、小林さんというかその人らしい表情が垣間見えて、微笑ましくなってきます。
こういう建物にいきなりピシッとクロスが張られたりすると、ちょっと魅力が減ってしまうような気がしますものね。
このあたりに親戚がいるわけでもなく、前から強い縁があったわけでもないんだけど、10年前に県外から越してきた小林夫妻。さらには、こういったいわゆる田舎暮らし、というのにそれほど憧れがあったわけでもなかったそうです。
それでは、どうして金沢に住んでいても用がないと訪れないような、この場所のこの民家に出会ったのかが仕事柄、ワタクシとしては気になります。
そもそもどうやって知ったのかが、とても気になる。
と聞くと、以前、金沢市の商業振興課で里山工房事業というプロジェクトがあったのだそうです。残念ながらもうこのプロジェクトは無くなってしまったけれど、この事業を利用して工房を建てた人がいっぱいいるのだそう。その中の一組が小林夫妻。
陶芸を学びに石川県に来たことがあるのと、食と渓流に魅せられて、そのままこの地で暮らすことに自然になっていったのだそうです。
「いろいろな方と出会え、このことは楽しく感謝しています」
かのこさんも初めのうちは、トカゲやヘビが当たり前のように顔を出すこの環境に、多少びっくりするときもあったのだそうですが、今となってはそれが当たり前で動じることはありません。相変わらず、冬の寒い時期に行くトイレだけは気合が必要とのことですが、それも一時期だけなのでなんとかなるそうです。
こういった建物と探している人をつなぐプロジェクトがもっと普通にあるといいんですけどね。
車を走らせていると、どう見ても空家のような民家をちらほら見かけます。
なんとなくですが、田んぼがあって山や小川があって温泉があって工房があるこの環境は、雪が降って気候は違えども、バリのウブドに通じるものがあるような気がしないでもありません。
モノをつくる人にとっては自分の世界に没頭できそうな環境なのではと思います。
そのうち、もっとモノ作りに携わる人などが移住してきて、地元の人たちとコミュニケーションがとれれば、とても魅力のある里山とかになるような気がします。
紹介できる物件があれば、金沢R不動産としては、喜んで世の中にお披露目させたいと思うのですが、いかがでしょうか。
写真5
裏庭の畑。(取材したのは夏です)
写真6
食べられる花を物色中。砂遊びに没頭中。
写真7
クワガタも立派に育ってます。
自分のペースで、自然体な暮らし
ひとしきり茶の間でお話を伺ったあとは、裏庭の畑を見せてもらうことに。
金沢R不動産では週末農家というアイコンがありますが、これは週末農家ではなくてほぼ毎日農家。
自分たちで食べる分は作って食べる、昔は普通だったサイクルが普通にまわっています。
ここで登場したのが、小林Jrの2人と一匹の黒い大きい犬。
急に現れたカメラを持った青年の来訪に、テンションが上がったのか「クワガタがいた!」「この花は食べれるんだよ!」「バウ!」と一斉に話かけてくれます。
子供はやっぱり愛嬌があって元気なのがいいなと、まだ子供どころか結婚相手もいませんが、ふと思ったりしてしまいます。
これも手作りのウッドデッキに胡坐をかいてJrと犬を見守る大さんの姿は、気負いもなくて自然体。これもこの奥座敷と呼ばれる環境がそうさせるのでしょうか。
「のんびり…にみなさん見えるようですが、こういった仕事は自分のペースを作るのがとても難しく、それ自体が仕事…と言ってもいい気がします」
とおっしゃいますが、自分のペースが作れなくて悩んでいる人も多い中、作ろうと思えば作れる環境で暮らす小林夫妻は、ワタクシからみると十分羨ましいのですが。。。
ということで、第二回目の金沢ライフ探訪はここで終りまして、次回お届けするのは【さらに奥で金曜日だけ開いているパン屋を民家で営む】という一組。
これはまた羨ましいライフスタイルを送っている一組にお会いできそうです。
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金沢ライフ穴場探訪 1 「湯涌エリア」
Case01 金沢市東荒屋町 中川純一さん/ガラス工房 shell studio
手間をかけて作られたモノって古びれないというか、時間がたてば経つほど味わいが深くでてくるものですね。もちろんその間も手をかけられていないと朽ちていってしまうわけですが。
ROCKやJAZZなんかを聞いて育ち、パスタをおいしく食べていても、体に流れているのは日本人の血。牧歌的な日本の田舎らしい風景の中、今も手を加え続けられている古い民家には、なんともいえない、ゆるくて心地のよい空気が漂っていました。
前回から続く、金沢ライフ穴場探訪。

並べられたうつわや鍋たちがこの部屋にはまってます。
第2回目として紹介するのは、中川さんに案内していただいた工房仲間、「陶房 ななかまど」の小林さん。なんだか、リレー形式でお届けすることになってきましたが、どんな方が待っているのか分からないというのは楽しみを倍増させてくれるものです。
渡された地図を手にして車を走らせること10分ほど。中川さんの工房からもう少し湯湧温泉に向かって(つまり山側です)いくわけですが、視界のほとんどが水田と里山という風景になってきます。
あちらこちらでキラキラと水面を輝かせ、稲の青い匂いを含んだ風が心地よく、どこからか雲雀のさえずる声が聞こえ、遠くを白鷺のようなものが飛んで行く。田んぼの横に白い犬が寝ていたりして、自分で自分の顔は見れないですが、たぶんすごくリラックスした顔になっていたと思います。
それらしき集落が見え始め小林さんの工房を探せども、どれがどれだか見分けがつかないので、歩いてきた年季の入った麦藁帽をかぶったおじさんに聞いてみると、「あぁ、あそこを右に曲がると右に見えてくるよ。鍋買いにきたんけ?」と、とても分かりやすく教えてくださる。
聞けば昔からここで育った方ではないらしいのですが、すっかり近所と馴染んでらっしゃるようです。
言われたとおり右に曲がるとそれらしき古い民家が見えてきました。
特に看板は見当たりませんが、中を覗きこむかぎり、土の塊やろくろや作業机が見えるので間違いはなさそうです。
このまま眺め続けて不審者と思われても困るので、「こんにちは〜」と声をかけると出てきた方が、小林大さん、かのこさん夫婦。
今回の穴場探訪に登場していただくご夫婦にお会いすることができました。
Case02 気負いがないので自然体
金沢市下谷町 小林大さん/陶房ななかまど
里山に残る古民家を工房に
おそらく農家の作業場として使われていた玄関まわりを工房に、大きすぎるくらいに大きく、天井の高いお茶の間には鍋やうつわが並べられ、裏庭(といってもまわりは全て庭のような状態ですが)に面したあたりがダイニングや、家族の和みの空間としてこの古い民家を活かしてらっしゃいます。
さすがにモノ作りをされているので、壁や建具などは手作り。
その道のプロでないので、慎重かつ適当に手を加えられているあたりが、小林さんというかその人らしい表情が垣間見えて、微笑ましくなってきます。
こういう建物にいきなりピシッとクロスが張られたりすると、ちょっと魅力が減ってしまうような気がしますものね。
このあたりに親戚がいるわけでもなく、前から強い縁があったわけでもないんだけど、10年前に県外から越してきた小林夫妻。さらには、こういったいわゆる田舎暮らし、というのにそれほど憧れがあったわけでもなかったそうです。
それでは、どうして金沢に住んでいても用がないと訪れないような、この場所のこの民家に出会ったのかが仕事柄、ワタクシとしては気になります。
そもそもどうやって知ったのかが、とても気になる。
と聞くと、以前、金沢市の商業振興課で里山工房事業というプロジェクトがあったのだそうです。残念ながらもうこのプロジェクトは無くなってしまったけれど、この事業を利用して工房を建てた人がいっぱいいるのだそう。その中の一組が小林夫妻。
陶芸を学びに石川県に来たことがあるのと、食と渓流に魅せられて、そのままこの地で暮らすことに自然になっていったのだそうです。
「いろいろな方と出会え、このことは楽しく感謝しています」
かのこさんも初めのうちは、トカゲやヘビが当たり前のように顔を出すこの環境に、多少びっくりするときもあったのだそうですが、今となってはそれが当たり前で動じることはありません。相変わらず、冬の寒い時期に行くトイレだけは気合が必要とのことですが、それも一時期だけなのでなんとかなるそうです。
こういった建物と探している人をつなぐプロジェクトがもっと普通にあるといいんですけどね。
車を走らせていると、どう見ても空家のような民家をちらほら見かけます。
なんとなくですが、田んぼがあって山や小川があって温泉があって工房があるこの環境は、雪が降って気候は違えども、バリのウブドに通じるものがあるような気がしないでもありません。
モノをつくる人にとっては自分の世界に没頭できそうな環境なのではと思います。
そのうち、もっとモノ作りに携わる人などが移住してきて、地元の人たちとコミュニケーションがとれれば、とても魅力のある里山とかになるような気がします。
紹介できる物件があれば、金沢R不動産としては、喜んで世の中にお披露目させたいと思うのですが、いかがでしょうか。

奥座敷湯涌のさらに奥へ。視界に映るのは緑と青色ばかりです。

貫禄のある玄関。看板は見当たりませんが、中を覗きこむと、土の塊やろくろが見えます。

玄関を入ると工房スペース。
自分のペースで、自然体な暮らし
ひとしきり茶の間でお話を伺ったあとは、裏庭の畑を見せてもらうことに。
金沢R不動産では週末農家というアイコンがありますが、これは週末農家ではなくてほぼ毎日農家。
自分たちで食べる分は作って食べる、昔は普通だったサイクルが普通にまわっています。
ここで登場したのが、小林Jrの2人と一匹の黒い大きい犬。
急に現れたカメラを持った青年の来訪に、テンションが上がったのか「クワガタがいた!」「この花は食べれるんだよ!」「バウ!」と一斉に話かけてくれます。
子供はやっぱり愛嬌があって元気なのがいいなと、まだ子供どころか結婚相手もいませんが、ふと思ったりしてしまいます。
これも手作りのウッドデッキに胡坐をかいてJrと犬を見守る大さんの姿は、気負いもなくて自然体。これもこの奥座敷と呼ばれる環境がそうさせるのでしょうか。
「のんびり…にみなさん見えるようですが、こういった仕事は自分のペースを作るのがとても難しく、それ自体が仕事…と言ってもいい気がします」
とおっしゃいますが、自分のペースが作れなくて悩んでいる人も多い中、作ろうと思えば作れる環境で暮らす小林夫妻は、ワタクシからみると十分羨ましいのですが。。。
ということで、第二回目の金沢ライフ探訪はここで終りまして、次回お届けするのは【さらに奥で金曜日だけ開いているパン屋を民家で営む】という一組。
これはまた羨ましいライフスタイルを送っている一組にお会いできそうです。

裏庭の畑。(取材したのは夏です)

食べられる花を物色中。砂遊びに没頭中。

クワガタも立派に育ってます。
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